相続講とは

 「相続講」というのは、親鸞聖人の教えを聴聞し、お念仏の信心を現代から未来へと正しく伝えていくために、教えの相続『法義相続』と聞法の根本道場である真宗本廟(東本願寺)を維持していかなければならないという先達からの願い『本廟護持』の願いのもとに、1885(明治18)年、厳如上人の時に創設されました。「相続講」についてご紹介します。

 「相続講」という名前は、全国のご門徒に呼びかけてご懇志をお願いし、ご懇念をお運びくださる門徒の願いが、真宗再興の祖として敬われる蓮如上人が形成された「お講」、つまり仏法を聴聞して信心を獲ることを主とした集まり(僧伽・サンガ)そのものであることに由来します。

 当時、東本願寺では1880(明治13)年から禁門の変で焼失した現在の御影堂・阿弥陀堂を再建するという大事業がおこされていました。今も阿弥陀堂と御影堂を結ぶ廊下に展示されている「毛綱」が物語っているように、数知れないほど多くの真宗門徒の懇念が一つに結集し、15年間という歳月と莫大な経費を費やして、その大事業は完遂されました。

 さらに再建された両堂から出発して将来に進むにあたり、信心を要とする宗門の結集をいよいよ堅くするために、相続講は今日にいたるまで大谷派教団の基盤となって、聞法と伝道そして財務に大きな役割を果たしています。

 すべての真宗門徒は、本山を護持し、宗門の教えの相続を支えている相続講員なのです。そして、一定のご志納をされた方には、賞典として院号授与や真宗本廟収骨(真宗本廟(東本願寺)に収骨すること)があります。

知ってるようで知らない相続講(「教務所たより」より)

Q1:「相続講」とは何ですか?

A1:「相続講」はお寺の者も含め、全てのご門徒を相続講員として「門徒一人ひとりが真宗本廟(東本願寺)を護持すること」を目的とした、真宗大谷派独自の本山護持制度です。蓮如上人の時代から各地に形成された聞法組織である「お講」を基盤として、明治18年(1885年)に始まりました。相続講の精神は「法義相続(お念仏の教えを自らが聞き、次の世代に手渡すこと)」、「本廟護持(教えを伝える道場である真宗本廟やお講を護持すること)」の言葉で表されます。相続講による懇志金を「相続講金」といい、主に本山(東本願寺)の維持費や宗派の教化活動費に使用され、宗門財政の基盤となっています。

Q2:「相続講金」として本山に納めた懇志にはどのような扱いがありますか?

A2:相続講金のご志納金額に応じて、①院号法名の授与(8万円以上)②真宗本廟(東本願寺)への収骨(12万円以上)③肩衣の授与(金額に応じて様々な色合いの肩衣)等のお扱いがございます。これらは相続講金を納められたご門徒に対して、本山から贈られる賞典です。一方、法名を頂戴する帰敬式(おかみそり)の受式や真宗本廟以外(例えば、金沢別院や大谷祖廟)への納骨は、相続講の賞典としてのお扱いはございません。

※相続講金の収納状況や各賞典の申請に関する問い合わせは、教務所までお尋ねください。

Q3:「相続講台帳」について詳しく教えてください。

A3:ご本山へ納めていただいた相続講金は小松教務所で電子管理されている相続講台帳に記帳させていただきます。相続講台帳はご懇志を記録するもので、過去に納金されたことがある方は追加で台帳に記帳し、初めて納金される方は新規でお作りいたします。【台帳に関する留意点】

①台帳は個人のものですが、その台帳よりご家族が賞典を受けることも可能です。

②ご本人の台帳から4万円、配偶者の台帳から4万円を合算して院号法名を申請する

など、台帳を合算して使用することは出来ません。

③台帳の名義の方が亡くなられた場合は、その後継者(配偶者や孫も可能)にも相続講にご尽力いただけるよう賞典未扱い分の全額を引継ぐことが可能です。なお、台帳の引継ぎは自動継続・強制ではございません。また、亡くなられていない方の台帳引継ぎは出来ません。

④台帳の残額の有無に関わらず、亡くなられた方の台帳は残されます。また、その台帳に残額がある場合、ご家族の方は残額分を使用することが出来ます。

⑤懇志金を記録する相続講台帳は銀行の預金通帳等と異なりますので、払い戻しは出来ません。

Q4:相続講金を納めていた父親が亡くなりました。相続講台帳はどのようにすれば良いですか。

A4:法義相続・本廟護持の相続講にご尽力いただきありがとうございました。

 まず、亡くなられた方の台帳はそのまま残ります(2021年1月号参照)。台帳をそのまま残すのか、それとも全額(2023年7月1日に改正)を引き継ぐのかは、各在所の世話方さんと相談してお決めください(万が一、世話方不在の場合は教務所までご相談ください)。

 大切な事は相続講をお父様から引き継ぎ、またご自身の後継の方に引き継いでいくことです。皆様の相続講によって教えを聞く場が開かれ、そこで教えをいただく人たちによって真宗本廟(東本願寺)が支えられていることをご理解いただき、今後も相続講にご尽力いただきたいと切に願っています。

Q5:相続講金の納め方を教えてください。

A5:大半の在所では本山世話方が相続講金を取りまとめ、教務所に納めに来られます。しかしながら、遠方等の理由により、教務所員が在所の公民館や道場に赴き、勤行や法話の後、相続講金の収納、院号法名や収骨の手続きを行っている在所もあります。また、他県にお住いのご門徒であれば、郵便振替を利用して納金されたり、個人で教務所に直接納めに来られる方もいらっしゃいます。相続講金の受付や賞典の手続き等、各在所の状況に応じて柔軟に対応させていただきますので、お気軽に教務所までご相談ください。

Q6:真宗本廟収骨で本山に収められたご遺骨は、一定期間経過すると別の場所に移されると聞きましたが本当ですか。

A6:そのようなことは一切ございません。これまで収められたご遺骨は本山(真宗本廟)の外へ移したことはなく、すべて親鸞聖人の御真影が安置されている御影堂に収まっております。また、親鸞聖人の御廟所である「大谷祖廟」に移されるということもございません。ご門徒の皆様から頂戴している本山経常費(相続講金)は、ご遺骨を保管するための管理費にも充てられています。

Q7:()敬式(きょうしき)(おかみそり)受式の際に「院号法名」を頂戴することは出来ますか?

A7:帰敬式の受式と同時に「院号法名」を頂戴することは出来ません。まず、帰敬式受式の際に仏弟子としての名前である「法名(釋(尼)〇〇)」を頂戴します。その後、改めて小松教務所にて「院号法名(〇〇院)」の申請を行っていただくことになります。帰敬式を受式してから院号法名を申請するまでの期間に決まりはございません。お手次の寺院や在所のお世話方に相談のうえ、折を見て申請ください。なお、帰敬式のお礼金※1は、院号法名の相続講賞典と異なり、別途御礼金を頂戴しています。

※1 帰敬式のお礼金は10,000円。教区主催の帰敬式ではお礼金とは別に記念品代等の諸経費を頂戴しています。寺院での受式の場合は、その寺院にお問合せください。

Q8:相続講が法義相続・本廟護持の精神のもと「門徒一人ひとりが本山を護持すること」を目的としていることは分かりました。では、町内会等の団体として相続講金を納めることは出来ますか?

A8:相続講金は町内会等の団体としても納めることも可能です。在所のお講で集めていたお賽銭を○○町門徒会として納めたい、という申し出は年に数件ございます。その場合、団体名で披露状を発行して相続講金を納められた記録を残し、在所や組門徒会の収納成績とさせていただきます。なお、団体で納められた相続講金を賞典の申請や個人台帳への記帳に使用することは出来ません。

Q9:相続講が法義相続・本廟護持の精神のもと「門徒一人ひとりが本山を護持すること」を目的としていることは分かりました。では、町内会等の団体として相続講金を納めることは出来ますか?

A9:相続講金は町内会等の団体としても納めることも可能です。在所のお講で集めていたお賽銭を○○町門徒会として納めたい、という申し出は年に数件ございます。その場合、団体名で披露状を発行して相続講金を納められた記録を残し、在所や組門徒会の収納成績とさせていただきます。なお、団体で納められた相続講金を賞典の申請や個人台帳への記帳に使用することは出来ません。

Q10:肩衣(かたぎぬ)は何種類ありますか?

また、肩衣はどのような場面で着用すれば良いですか?

A10:相続講賞典の肩衣には略肩衣と畳肩衣がございます。まず略肩衣ですが、1、2、3、5万円の4種類(紅葉(べには)(ざくら)色略肩衣)ございます。金額によって色は変わらず、略肩衣に入る線の本数が変わります。一方の畳肩衣は、()(うら)色(10)、(うら)桔梗(ききょう)色(20)、(あお)紅葉(もみじ)色(30)、比蘇(ひそ)()色(50)、躑躅(つつじ)(がさね)色(70)、紅梅(こうばい)色(紋二・100、紋五・200、紋七・300、紋十一・500)の9種類ございます。

※()内数字の単位は万円

 畳肩衣は上記のとおり金額に応じて色が異なります。ただし、志納金額100万円以上の紅梅色は金額によって色は変わらず、肩衣に入る紋の数が変わります。

 肩衣は仏前における真宗門徒の正装とされています。報恩講をはじめ、朝夕のお勤め、お講や法事等、様々な仏事の場で肩衣を着用ください。

相続講ってなに?

真宗大谷派 小松教区『相続講ってなに?』
『相続講ってなに?』

相続講について、わかりやすくマンガで描かれたパンフレットです。
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